ワイヤード・パンチ

元・大阪人が、岡山の山奥でも生きていけることを証明するためのブログ。

IT企業から農業へ転職して、良かったこと困ったこと。

image大阪から岡山の山奥へ移住して、2週間以上経ちました。住み家もそうですが、職業もまるっきり違うものに変わりました。新しい職場にはまだ3回しか出勤していないので、意見を出すには早過ぎるかもしれませんが、とりあえず現時点で感じた、職を変えたことによる利点と欠点について。

広告

そもそもIT企業の何が嫌だった?

これまでの不満を募り募らせて書くと非常に長くなるので、なるべく短めにまとめます。

夜遅くまで帰れない出向の日々、なるはやばっかり迫られる納期の短さ、いまだに古臭いPCを使う相手のせいで古い仕様で作らされる、そのくせ仕様はコロコロ変わる、長時間PCに張り付きっぱなしがつらい、部屋の冷房がきつい、上司の口調が気に入らない、同じ開発担当と作業のやり方が合わない、良い天気だから外に出かけたくても出かけられない、隣の席の人の体臭がきつい、そもそもネットにつながっていればどこでもできる仕事なのにわざわざ大阪のような人混みでやる意味がない、などなど。

上記をひっくるめて、他人とシステム開発の仕事をするのはぼくには向いていないと実感したわけです。PCに触るのは、このブログを書くことなど趣味の時間だけで充分です。また、毎日の移動時間が全くの無駄だとも感じたわけです。

さらに、IT企業はそこそこ高給だと思われますが、それだけ自分の体力が削られていきます。当時のぼくの月給は差し引きなしで約245,000円あり、IT企業全体としては下の方でしょうけど、しんどい目にあって大金を得るくらいなら、普通の仕事をして普通のお金だけ得て、贅沢しない暮らしをした方が、よっぽど気楽だと感じたのです。よく、IT系転職サイトの広告で「月給100万とか毎月がボーナスやないかい!」なんてありますが、その人はちゃんと寝れているのでしょうか。

極めつけは、その会社に勤めてきて、本当にタメになるようなものを作れたのかどうかということ。どうも、会社間の満足を得るために作ってきたような感じしかしないのです。というか、お金のために仕方なくやってきたというだけです。

ネットでIT企業について検索するとよく出てくるような、ドス黒い話はぼくの勤めてきた会社ではありませんでしたが、それでも上記のような気に食わない部分は多々あったのです。ドス黒い経験をした人たちから見たら、そんな恵まれた環境をやめたなんてもったいない。というか逃げてるだけやろ。なんて思うかもしれませんが、引き際というのも肝心だとぼくは思います。やりたくないものは、やらんでいいのです。

というわけで、今までやってきたIT関係は仕事のうえでやるということだけさっぱり捨てて、まるっきり違う農業の仕事へと踏み切ることになりました。その理由としてはいろいろあるのですが思いつく限りでは、まずはずっと室内の作業が苦しかったため、外に出れるような仕事がしたかったということ。もう1つは、大阪のような都会ではできない仕事をしたかったということ、あとは農業は人間が生活するうえで絶対に欠かせない食物を作る仕事なので、本当に必要な仕事だと実感できると思ったからです。

一口に農業と言っても、何をしてんの?

正直言ってぼくも農業をしたいという漠然な思いを持っているだけであって、何を作りたいだの、将来どうしたいだのは、全然決まっていません。でも、岡山に引っ越すことになり、お借りすることになった空き家に住む条件として、農業をしたい若者とあったので、とりあえず住んでみてから、様子を見ていくことにしたのです。

空き家の大家さんから農場のアルバイト先を紹介してもらったので、現在ぼくはそこに勤めています。今の季節はタマネギに関することが行われているのですが、もう既に収穫は終わっており、ぼくが入った時点では多量に干されたタマネギの茎と根っこをカットし、さらに湿り気がないか確認する作業から始まりました。

どこからこんなに採れたんだと思いたくなるような、山のように吊るされているタマネギを一つ一つ取り外していきます。店に並んでいるタマネギの形に近くなるよう、茎の部分は数センチ残し、根っこはすべてハサミでカットしていきます。ぼくの他にも数名の方と協力して、カットを進めていきます。

茎と根っこをカットしたら、今度は湿り気が残っていないかの確認です。ここ最近は雨が多かったので、中まで濡れてしまっているものが存在します。カットした茎の部分をつまんで汁がにじみ出るものはまだ乾いていないので、それはまた干し直しです。

乾いているタマネギを選別できたら、今度はさらにそれらのサイズを選別する作業に入ります。自動的にサイズを仕分けしてくれるコンベアへタマネギを流していくことになります。

コンベアと言っても工場にあるような大掛かりなものではなく、人力で組み立てられ、投入口、ブラシによる洗浄部、回転ローラーによる選別部など、パーツがそれぞれ分離している簡易的なもの。投入口からタマネギを流すことで、傾斜やコンベアの力で自動的にタマネギが進んでいき、最後は穴のサイズが異なるローラーへ進みます。穴のサイズは小から大へと変わっていくので、そこでタマネギのサイズに見合った穴へと落下していきます。

ただ単にサイズが選別されていく様子を見ているだけでは仕事になりません。タマネギがたくさん入ったコンテナから、投入口へとタマネギを流していく役割の人と、サイズ別のコンテナが満タンになるまえに交換する役割の人が必要になってきます。

今回ぼくがやったのはサイズ別のコンテナを交換していく方であり、他の方と合わせて2名でやりました。サイズは全6タイプありますが、ぼくは小さい方、他の方にはもう半分の大きい方を頼みました。しかし一番よく採れていたのは大きいサイズであり、他の方の仕事量が多くなってしまい、その人ばかりに仕事させてしまいました。タマネギが溜まったコンテナを移動させるのは当然重いですし、溜まるスピードも速いので、少々忙しい。

サイズの選別が終わったら、今度はさらに品質を見きわめて選別し、パッケージに納めていく作業になります。市場に出るタマネギのランクは秀および優に分けられており、秀の方が良いものになります。ただ、秀と優なんて言葉はどっちも良いように見えますし、選別作業するうえでややこしいので、そのときはAとBという呼び方に変えています。また、パッケージにもランクを書くことになりますが、優の方は悪いタマネギかという誤解を与えかねないので、優ではなく秀に○をつけて書いています。元から秀のものはそのまま秀です。ややこしいねん。

AとBの見きわめ方は、まず土のついた薄皮を剥いでみて、黒ずんだところが多くないか、逆に色が薄すぎたりしないか、穴や傷がついていないか、形がいびつでないか、などになります。サイズの選別と違ってこちらは人の目による判断、さらに担当者による独断なので、選別の仕方にバラつきが出てしまいますが、とりあえずお客さん視点でも考えてみて、これなら買っても問題ないかなと思えるものはAで良いかと。あと、薄皮だけめくるつもりがたまに中身ごとはいでしまうことがありますが、そうなったらB行きです。取り扱い注意。

現在はこのAとBの見きわめの途中まで作業が進んでおり、この記事を書いている本日もその作業の続きをすることになります。まだ大量に見ないといけないタマネギが残っているため、どうしても時間がかかるのです。

なお、上記作業をしている間に、中には目が出ていたり腐ったタマネギが見つかることもあります。それはもう燃やすしかありません。農家から使えない作物をタダで譲ってもらう某テレビ番組がありましたが、その人たちにも渡せないようなものは焼却処分行きです。

結局どうなの?

冷房がガンガンに効いた室内で、机に座ってやってきたこれまでの仕事と違って、今回の農場での作業は屋外であり、さらに日によっては暑くなることもあります。ただ、大阪と違って山の中での作業ですし、全面アスファルトに囲まれているわけでもなく厄介な照り返しもないので、大阪に居るときほどの暑さはありません。それでも他の方は暑いとよく口にしますが。

また、作業する場所によっては風通しが悪く、砂埃が舞うこともあり、さらに近くではゴミを燃やす焚き火をしていることもあるので、むせてしまうこともあります。場合によってはマスクが必要かもしれません。

こんな感じで、まったく汚れる必要のなかった仕事から一変、土などで汚れることが当たり前の仕事となりました。それに加えて、虫もよく飛び交っています。でも、服なんてどうせ汚れるのは当たり前と割り切れば、汚れ仕事も苦ではないでしょう。そもそも大阪に居てても、クルマの排ガスだらけになるので、見える見えないの差だけです。

また、今回行ってきた作業は選別ばかりなので、座ってやるようなものがほとんどでした。座ってやるといったらPC作業と変わりがないんじゃないかと思われますが、光を放つ液晶画面を見続けるわけではないので目への負担は少ないでしょう。また、全然直らず終わりが来ないバグに振り回されるわけでもなく、量は多いもののいずれは終わりが来ることもわかっています。さらに、ドせっかちな大阪人も居ないので、なるはやなるはやと急かされることも、今のところはありません。

やることは単調作業の繰り返しですし、コンテナ運びなど力が必要な作業もありますが、先ほども挙げたように終わりが明確なので、単調作業に耐えられる人であれば、これほど向いている仕事は他にないんじゃないでしょうか。

さらに、あれが違うこれも違うといろいろ突っぱねられることもないですし、仕事上だけでなくあらゆる面でもっともストレスになる、他者からの妨害というものがほとんどありません。IT企業に勤めていたころと比べて、大阪に住んでいたころと比べて、生活するうえでストレスを感じる場面はかなり無くなりました。なかなか治らず厄介だった頭痛も、最近は感じていません。

しかし一方で心配な面も。上記までの作業はぶっちゃけ、誰でも出来る仕事です。フォークリフトの操作とかだったら免許を持つ人しかできませんが、タマネギの皮剥きとかできない人はいません。そのせいか給料は非常に安く、時給たった750円しかありません。いちおう8時間、つまりフルタイムの勤務なので1日6,000円にはなる計算ですが、それでも大阪のあらゆるアルバイトよりも少ないです。

また、毎日作業があるわけではなく、先週は2日しかありませんでした。仮に毎週2日働いて1ヶ月が4週間だったとして、6,000×2日×4週で、1ヶ月48,000円しかありません。ただ生活するうえではこれでも良いでしょうけど、ぼくの場合は専門学校時代の学費の支払いも残っているので、これでは足りません。まだ数ヶ月生きられる蓄えは残っているものの、このままではいずれ死んでしまいます。~~ほんと、学校なんて行くだけ無駄だった。~~

でも言い換えると、毎日8時間の週5日きっちり働かなくても、人によっては充分に生活することができるはずなのです。また、あれほどフルタイムで働くのはつらいから嫌だと過去のぼくは言いましたが、今回のような作業であればフルタイムでも充分に耐えられます。

しかし、1つのバイト先だけではやはりお金が足りません。運の良いことに、近所の方からまた別のバイト先も紹介してもらえたので、そちらの方にも働きに行く予定です。そちらも農業であり、ぶどうになります。

もっとも心配なことは、冬になったらほとんどの農場が休みになると思われることです。こうなったらその間は農場で働けません。ただ、職種さえこだわらなければ、近所のスーパーなどでアルバイト募集もけっこうあったりするので、冬の間はそっちに行くのも良いかもしれません。(冬になったら大阪に帰ってこいとウチの親は言いますが、断固お断り。移動にもカネかかるし。)

家も仕事先も、何から何まで行き当たりばったりで進めてきた感じはありますが、無駄に考えすぎても思いとどまってしまいますし、やはり実際に行動してみることが一番です。そもそも先のことなんて誰にもわからないので、考えるだけ無駄です。住み家も職も変えて正解だったと、今のところは思います。なるようになれ。

追記。(2018/1/11)

心配していたとおり、2017年の初め頃、大雪続きで仕事どころではない日々が増えました。

その結果、給料が少ない月も出てきてしまい、このままでは生活がままならないと思ったので、結局は農業のアルバイトをやめて、別の仕事に就くことになってしまいました。

農業はよほど資金に余裕がないと駄目です。